2016年5月29日日曜日

本の紹介『ばんぱいやのパフェ屋さん』

男たるものパフェなんて

とは全く思いませんけど、
やっぱり隣に女の子がいないと遠ざかってしまいます。

パフェ

今回ご紹介する本は
ばんぱいやのパフェ屋さん
(佐々木禎子 ポプラ文庫ピュアフル)

題名のとおり
吸血鬼が経営するパフェ屋のお話です。


主人公はパフェ屋さんではなく、
貧血虚弱な男の子。

その遠縁にあたる親戚が吸血鬼の一族で、
パフェ屋さんです。


物語は、
主人公の男の子が中学生に進級したところから
始まります。

彼は虚弱体質のため、
(病気の類ではなく、
 吸血鬼の血縁所以なのですが)
すぐに倒れてしまう「弱い子」。

あだ名は「ドミノ」。

「言われても仕方ない」と諦めてしまうあたり、
幼いころから蔑視されたんだろうな、
って同情してしまいます。

しかも、
それは母親のしつけだの養育のせいにされて。



ホント、
現実問題、
周囲のヒトたちって勝手な理由づけしてくれる。
勝手な評価して、
勝手な期待を圧しつけて、
勝手にがっかりして。
本人はため息しか出ませんよね。


はい。
閑話休題。




中学生は
精神的にも社会的位置って意味でも
不安定な時期です。

自我の確立が
本人の心と体の居場所を不安定にします。

自分探しの旅って言葉を使えばカッコいいのかもしれませんけど、
そんなモンじゃなく、
もっと息苦しい、
深い深い霧が立ち込めた森の中を彷徨ってるような。
居場所と自分を捜してもがく年齢でしょう。

パフェ屋の吸血鬼たちは
そんな男の子の前にサラリと現れます。

ばんぱいや
であることのコンプレックスときちんと向き合った結果、
堂々としたオトナになった彼ら。

いや、やることはけっこうコドモですけど、
まぁ、それはそうと彼らは
現実を迷い彷徨う「ドミノ」に指針を示す目標となります。

男の子の成長を描いた
とってもやさしい物語です。



我が子が15歳。
父親として指針となってるのでしょうか。
なってないなら、
他に指針となるヒトをみつけているでしょうか。
覆いに不安です。



ついでに
舞台は著者の出身地でもある北海道札幌市です。


うん、たしかに。

あそこなら吸血鬼もいそうな気がします。
東京新宿区とか鳥取県境港市とか岩手県遠野市とかにも
いそうですけど、
雰囲気的に住んでそうな気がします。

この物語のように商店街で。
現実社会のしがらみに縛られ過ぎず、
迷い人を導いてほしい。
そう思うのは、あまりに他人任せですか?

2016年5月20日金曜日

本の紹介『座敷童子の代理人』

岩手県遠野市
柳田国男宮沢賢治が愛した妖の住む町。

なんでか
ジンギスカンのお店が街道沿いに並ぶ町。

いやいや、
そっちは関係ないか。


今回は妖怪のお話です。
座敷童子の代理人
(仁科裕貴 KADOKAWAメディアワークス文庫)

ちょいミステリ。
ちょい恋愛もの。
ちょいアクション。

ネタが妖怪で、
主人公が物書きでなければ、
正直、
食指が伸びなかったかもしれません。

物語を「読ませる」ように構成する要素を
ふんだんにちりばめた 小説。
ってのが第一印象でした。

主人公の男性が著者とリンクして、
この小説自体ノンフィクションなんじゃないか、
と勘ぐってしまいます。

著者様、失礼なことを言ってごめんなさい。


どの部分を紹介してもネタばれになりそうなので、
今回はあくまで外郭のみの紹介です。


面白いのは、
物語の各所にちりばめられた伏線とギミック。
妖怪の立ち位置とオチ。
そんなに複雑ではないので
ライトミステリ(そんな単語は存在しないでしょうけど)
って感じです。

それでも
「あーそうきたかぁ。」
とやけに納得した最後でした。



遠野。
きちんと訪れたことはありませんが、
とっても雰囲気のある町です。

過ぎていく景色を見てるだけで、
不可思議な世界に連れて行かれそうになります。

川沿いの桜並木。
いまだちゃんと観ることができてません。
キレイなんですけどね。