2015年9月26日土曜日

『半分の月がのぼる空』と『君と月の光』

真昼の太陽は苦手。
月夜はホントの自分を隠してくれるから好き。


てなことを時々夢想してしまいます。


半分の月がのぼる空
(橋本紡・電撃文庫)
はそんな気持ちを代弁してくれるお話でした。


話の舞台は伊勢
主人公の男の子が病院で
不治の病に侵される 少女に出会うところから始まります。

何もない町に生きる空虚感。
14歳前後に特有の焦燥と諦観。

そんな少年。

かたや、
生を渇望しながら、毎日死に怯える少女。

少年は少女が生きるだけでなく、活きることを欲します。

絡み合う愛憎と喜怒哀楽は、
むしろ、
死を約束された少女を活かせてくれます。


君と月の光
(SOPHIA)
がこの小説のイメージにピッタリと感じるのは私だけでしょうか。

少女の冷たい指先を、
少年が温めてあげる絵が思い浮かびます。

静かに寄り添い、
穏やかな眠りに誘い、
時に、暗闇に迷うヒトを導き、
時に、陽の下にさらせなかった感情をぶちまける場を提供してくれます。

必ずしも正しくはなくとも、
目の前に広がるは、二人だけの世界。
そして、
暗闇から差し伸べられた友達や家族の手のひらのぬくもり。

ヒトは弱い。
不安に苛まれ、
暗闇に押しつぶされそうにもなります。
ニセモノのぬくもりだってあります。

それでも、
ヒトは独りじゃ活きられないんですよね。


ちなみに、
電撃文庫はラノベレーベルですが、
私が読んだのは文芸春秋の文庫で再編されたほうです。

あえて文春文庫だから選んだのか、
と問われれば、否です。
たまたま刊行されたのを買ったら、
もとラノベだっただけ。

まぁ、無知だっただけなんです。

機会あれば、
電撃バージョンも読み比べてみようかと思います。







2015年9月23日水曜日

本の紹介『ハヤチネ!』


宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』
柳田國男の『遠野物語』
井上ひさしの『吉里吉里人』

岩手県が舞台となった(舞台と思われる)小説は、
昔から多く存在します。

現代小説ではあまり聞かれませんが、
今回紹介するのは、
完全岩手


『ハヤチネ!』
(福盛田藍子・スクエアエニックス)

舞台は早池峰にほど近い内陸の大迫です。

遠野に代表される民話の宝庫岩手県を余すことなく、
というにはあまりに岩手は広すぎます。

それでも、
芸能文化あり、食文化あり、と話は多岐にわたります。



始まりは、
両親を亡くした子供三人が東京から引っ越してきたところから始まります。

都会と田舎とのギャップに戸惑う三人ですが、
受け入れる側の懐の広さにだんだんと心を開いていきます。

方言や文化、人間性の違いにぶつかり合いながらも、
ゆっくりと成長していく子供たち。

著者の郷土愛が存分に感じられる作品でしょう。



余談ですが、
作品中にでてくる「がんづき」というお菓子。
あれ、全国区のものだと思ってました。

普通にスーパーやコンビニに並んでたので。

数年前に訪れた岩手県陸前高田市の友達のご実家で、
手作りの「がんづき」を出され、
初めて郷土食だったことに気づかされました。
(恥ずかしながら、店で売ってるものは、
基本的にお菓子屋さんでしか作れないと思ってた)


同様に、
「だから」の使用法も全国区でないことに気づかされたのも、
ここ5年くらいの話。
私が「だからぁ」って言うと、
不思議そうに言葉を待つんですよね。

「だからぁ」は相づちです。

『ハヤチネ!』のおまけコーナーでは、
イントネーションの違いについて語られてました。

「か」の位置が上がるのが相づちの「だから」で、
理由をつなげるときは頭の「だ」が上がるのだそうです。

意識して使ったことなかったけど、
あらためて思い返すと、やたらに連発してて、
東北の外から来た人たちが混乱してたみたいです。


 やっぱ、地元本は楽しいですね。

2015年9月13日日曜日

本の紹介『B.B.Joker』

見知らぬ街をあてもなく彷徨いながら、
ふと、
一軒のアパートの前で足を止めました。

二階の窓を見上げて、もの思いにふけります。

あの娘は元気にしてるかな。
新しいカレシができたかな。
それとも、まだ独りでいるのかな。
友達も少ないヒトだったから、
淋しくしてなきゃいいけど。

独り実況中継とか。
ラジコンにパワーアップキノコ被せたりとか。
すごい腕立てとか。
さすがに止めたよな。

いつか幸せを手に入れて欲しい。
きっと、
ありのままの彼女を受け止めてくれるヒトが現れるから…


はい。
前フリが長いですけど、
コミック紹介です。

『B.B.Joker』
(にざかな 白泉社)

「グリーンハイツ202」
ってネタに登場する女の子のことでした。


作者はコンビで、それぞれ仙台市盛岡市の出身です。

だからってこともあり、
地元を彷徨ってるとつい
「グリーンハイツ202」を探してしまいます。
しかも、周囲の風景も確認して。

大学時代の友人が同名のアパートに引っ越した時は、二人大笑いしました。


閑話休題。
マンガの紹介に戻ります。

それ以外にも
やたらとシュールな4コマギャグが続きます。

あまりにブラックでシュールなネタなので、むしろ常識人にしか笑えません。
小学校時代の息子は
世の中の「あたりまえ」な知識が足りなかったゆえ、あまり笑ってませんでした。

しかし、
社会経験も経て、知識も増えた中学生になった今は、
大爆笑してます。

成長したなぁ…

いや、こんなんで子供の成長を喜ぶ親は、ダメじゃん。
なんて最近、物思いにふけります。





2015年8月29日土曜日

本の紹介『ロードス島戦記』

前回の話を受けて、
ファンタジー小説のご紹介。



『ロードス島戦記』
(水野良 角川スニーカー文庫)


『指輪物語』『ドラゴンランス戦記』そして、『ロードス島戦記』
ハイファンタジー
の三大巨頭です。
個人的な見解ですが。


ちなみに
ハイファンタジーという分類を
現実世界を介しない
異世界完結型としています。

現実世界を介すというのは、
たとえば、
「東京に住む高校生が家の扉を開けたら、
目の前に角と翅が生えた女の子が寝てた。」
とか、
「大阪の道頓堀から、
ドラゴンに乗った男の子が現れたとか。」

『ロードス島戦記』は、
そういった文学ジャンルが世に認知されていないころ、
刊行されました。

最近、新版が刊行されています。
が、私が読んでたのは20年以上前。
角川書店が巨大化しつつある時代のものです。


「ファンタジーなんて小説じゃない。
 マンガだ。
 きちんと文学作品を読め。」


学歴社会全盛期に中学生でしたので、
親にはそんな風に言われた覚えがあります。







一部では
D&DT&Tといった
テーブルトークRPGが流行ってました。
リプレイ集が出たり。
小説から独自のルールブックが出たり。


家庭用ゲーム機は過渡期。
パソコンはPC-9801
5inchフロッピーディスク
Windows以前。Windows3.1はあったっけかな?
パソゲーの『ロードス島戦記』もやってました。
なにかソフトを立ち上げるのに
いちいちフロッピーを取り替えるのが面倒でした。

それでもグラフィック的には
パソコンのほうが数段上だったんですよね。

2015年8月26日水曜日

自作小説について その1

拙文ながら、自作の小説を書いてます。
「小説家になろう」のサイトにいくつか載せてますので、
「小説を読もう」 サイトでkimを検索してみてください。


さて、
こちらで書かせてもらってます小説です。

へりくだった表現ではなく、稚拙なる文章です。
どなたか一人でも読んでくだされば、
小躍りするくらいに。

「小説を書きたい」
と思ったのは中学生の時。
おそらく、以前ブログで書きました
『聖エルザクルセイダーズ』
を読み終えた時でした。

そして、
『はてしない物語』
(ミヒャエル・エンデ 岩波書店)

『リリス』
(ジョージ・マクドナルド ちくま文庫)
で異世界ファンタジーを覚え、
『ロードス島戦記』
(水野良 角川スニーカー文庫)
で日本製ハイファンタジー にはまり、
『スレイヤーズ』
I(神坂一 富士見ファンタジア文庫)

『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』
(秋津透 角川スニーカー文庫)
といった、
今ならばラノベと呼ばれるジャンルの小説を読み漁ってました。


ファンタジーへの傾倒は
『ロードス島戦記』
『指輪物語』
(J・R・Rトールキン 評論社)
『ドラゴンランス戦記』
(マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 
富士見ドラゴンノベルズ)
がきっかけです。
私見ですが、
ハイファンタジーのジャンルの三大ファンタジーです。

それらはまるで吟遊詩人の謳う叙事詩のようです。
吟遊詩人にお会いしたことはありませんが。


いつかきっと

それだけを夢みて、書き続けていきたいものです。

2015年8月25日火曜日

本の紹介『東京湾 海中高校』

これは実話である。



『東京湾 海中高校』
青柳 碧人
講談社文庫


お読みになった方はご承知でしょう。

実話ではありません。
SFです。


しかし、
海中高校は実在したんだ、
と信じてこんでしまうほどのクウォリティの高さでした。


舞台は千葉県の沿岸の海の中に建設された街です。
そこに生きる子供たち。
そして、
語り部はそこで育った男性。
今は教師をしています。

彼はある生徒から海中高校についての取材を受けました。

過去との邂逅は高校時代に出逢った少女を想いださせました。
青春時代というには殺伐とした過去は、
実は切なくも美しき想い出でした。

語り部の知りえぬ過去を知り、
彼の心は少しだけ動き出します。


帯には
「生まれ故郷を失う切なさ
 あなたにわかりますか?」
との問いかけがありました。

エネルギー問題。
住宅事情。
政治的思惑。
都道府県や市町村の主張
日本という国


そんな社会に振り回される子供たちを、
自分たちも現実に視てきたはずです。

とくにエネルギー問題は、
世論をないがしろにして再稼働する原発やら、
ハイブリット車やオール電化といった電気事情やら、
削減目標に達することのないCO2問題やら 、
今後も話題が尽きることはないでしょう。

必死に生きる人々をないがしろにしたままで。



どうにかならないの?


と自分でも問いかけてみます。
どうにもできない自分に苛立ちます。

次代のために自分たちは何をしてあげられるだろう。

この小説は問うてます。

2015年8月17日月曜日

本の紹介『かまいし千夜一夜』

岩手県釜石市の歴史についてご紹介します。

 『かまいし千夜一夜』
 (菊池弘 著:岩手東海新聞社 刊)


岩手県。
廃藩置県前の南部藩。
いつの時代も貧困にあえいでいました。


それを文学でつづったのが、
宮沢賢治です。


岩手をたびたび襲う冷害は
アニメ映画化しました
『グスコーブドリの伝記』
にも描かれていました。


さて、
釜石です。
大槌、山田、宮古含め海運業が発展します。
海運業の豪商の屋敷がある吉里吉里浜は
井上ひさしの『吉里吉里人』の舞台です。

北上山地の鉄鉱を釜石で製鉄。
製鉄所が一大産業として
釜石の歴史を作っていきました。

さらに
東北初の鉄道かつわが国初の
「国営産業専用鉄道」が
釜石鉱山鉄道でした。



そんな釜石の歴史は
格差社会の縮図のようでした。
利権争い、派閥抗争。
製鉄所がらみだけでなく
漁場収益をめぐる事件も発生します。

また、
あまり語られることはありませんが、
第二次世界大戦の艦砲射撃もひどかったとのこと。
なぜならば
東北唯一の重要な軍需工業都市だったからです。

今回の震災だけではなく、
たびたび津波にも襲われています。


ところで、
個人的、かつ第三者的な意見ではあるのですが、
釜石を訪れるたびに感じることがあります。


それは
町全体の統一性のなさ、というか
いうなら
「みんなでがんばろう!」的な雰囲気のなさです。


今回の震災の後
ほかの海岸都市と比べ釜石が復興前と雰囲気が変わらないな
と感じるのは
そんな歴史を経てきたからなのかもしれません。

この本を読んで多少合点がいきました。


現在
製鉄所は規模を縮小しています。
水産物もしだいに収穫が減っています。
三陸鉄道は震災で流されましたが、
なんとか復興してます。
企画列車にいつか乗りたいですね。


昔の面影はなくなりつつあるかもしれません。
しかし、それを嘆いていてもしかたがありません。
とりまく世界は変わっていきます。
古き良き時代を否定するつもりは毛頭ありません。
ただ、過去はあくまで過去とし、
新たな釜石に向かうときではないかな
と思いました。

2015年7月24日金曜日

本の紹介『聖エルザクルセイダーズ』

学園ミステリ
キリ教系のスクールに秘められた謎。

4人の女の子と男の子1人。

黒幕はイケメン男子で
「味方と思ってたのに…」
的などんでん返し。

ドタバタなテンションと
涙を誘うセリフ。


乱暴に描いてしまうと
めずらしくないお話です。


『聖エルザクルセイダーズ』
松枝蔵人
角川スニーカー文庫



ちょうどこの作品が発表されたのは
ラノベ黎明期
『コンプティーク』を読んでると
確実にオタク扱いされた時代でした。

ラノベという言葉ではなく
ティーンズ文庫とジャンル分けされていたころです。

世代が
第二次ベビーブーム
学歴社会の申し子と称された時代。

親には
「そんなマンガみたいな小説は
 絵がなくてもマンガだ!」
みたいに怒られました。

しかし、
自分にとっては
国語の教科書に載ってる文豪なんかより
はるかにハマった作品でしたし、
これまでの人生に影響を与えてくれたし、
最高傑作です。


構成もめずらしい作りで
章ごとに
キャラそれぞれの一人称と三人称が
入れ替わっていく形でした。

なので、
一般的な三人称作品では語り切れない
キャラ本人の深い気持ちの部分が
一人称部分で語られます。


また、
薀蓄じみた小ネタや謎解きパートも
エンターテイメントとしては
けっこう楽しめました。

「カクテルパーティ効果」とか
「壁に梯子をかける」問題とか
いまだに小ネタに使わせてもらってます。


正直、
中学生であった自分が感情移入したからこそ、
作品に対する評価が高くなってることは
否めません。

ミホ、姫、オトシマエ、チクリンの
女の子4人のドタバタ劇も
学生という
短く狭いけど、
とっても深い世界に築かれた人間関係も
自分にはない世界だったから
よけいに憧れたのかもしれません。


それでも、
いえ、だからこそ、
感情移入できない文豪の名作より
作中の、たとえ一文だとしても、
心に響く作品を読んでほしいなと思います。


「一期一会」
作中でヒロインが語られた話です。

私はいまだこの言葉を胸に人と接しています。






2015年7月23日木曜日

『鋼の錬金術師』と『終わりで始まり』

「歩きだせ」


叱咤激励してくれる場面は
珍しくありません。

親とか友達とか恋人とかの
だれかの言葉だったり、
自分自身に言い聞かせたり。

小説や漫画、
好きなアーティストが語りかけてくれることだって、
きっとあったはずです。

私にとってそれは

『鋼の錬金術師』
(荒川弘 スクエアエニックス)
の主人公エドワード・エルリックの
言葉であり、

amazarashiの歌う
『終わりで始まり』
でした。


まず
『ハガレン』第一巻。
神に見捨てられたと
途方に暮れる女性に
「歩きだせ」と
叱咤するエド。

それは
これから苦難の道を歩み続けるだろう
自分たちへの言葉でもあります。

「苦しいのはあなただけではありません。」
って言葉を暗に示し、
けっして押し付けたりはしません。
 
で、自分を憐れんだり、
不幸自慢もしないからこそ、
心にズシンと響きます。


そして、
『終わりで始まり』
(Album『あんたへ』収録 ソニーミュージック)

最近、ちょくちょくアニメの主題歌になり始めてる
amazarashiのアルバム曲です。
カラオケになってないのがとても残念。


歌われている「自分」は
力尽きて膝をつく「自分」。

いつか立ち上がる日を信じてた
「周囲のヒトビト」への感謝。


神は自ら助くる者を助く。
と言います。

誰かが立たせてくれても、
きっと
また膝をつくでしょう。
誰かがまた助けてくれる。
なんて期待して。

でも、
傷ついて、
それでも自分で立ち上がれば、
きっと
何度でもゆっくりでも
歩き続けることでしょう。




けっきょくのところ、
周囲の状況だったり、
そんときの精神状態だったりが
すべてなんですがね。

2015年7月21日火曜日

本の紹介『キノの旅』

現代版ガリバー旅行記。

第一巻を読んだとき、
真っ先に感じたことです。


『キノの旅』
 時雨沢恵一 著
 アスキーメディアワークス 
 電撃文庫


主人公は一応キノという若者です。
あえて若者って言ったのは、
性別が曖昧に描かれてるから。

それとモトラドと呼ばれる
しゃべるバイクです。
二人の掛け合いが旅中を退屈にさせません。


手にする武器は銃です。

著者が銃マニアだそうで、
訓練シーンや手入れのシーンは
興味なくとも
「なるほど」
とうならされます。


二人(一人と一台)は
滞在期間三日をルールに
いろいろな街に訪れます。

あと、
二組の旅人らが視点を変えて
街を語ります。
以前にキノが訪れていたり、
先に訪れた結果、変化した街に
キノが訪れたり。

旅人らしく視線はとても客観的。
街やそこに住む人々の矛盾
冷静に暴き出します。


そこに住む人々には
そこにしかないルールがある。

しかし、外から見れば
それが正義とは限らない。

結果、ヒトは
だれかの正義と自分の信じる正義を
選択し、それを信じ、従うしかない。


ってとこに
この話の面白さがあります。



正義を信じることの
難しさ
危うさ
大切さ

『キノの旅』
が教えてくれたことです。



2015年6月26日金曜日

『けいおん』と『オトノナルホウヘ→』

今回はマンガネタで。



私は楽器ができません。
ギターもピアノもやったことありません。
ドラムだって。

なんでか
お遊びキーボードとか
オカリナとか
カリンバとか
オタマジャクシの形した電子楽器があったりしますが。


「それでもいいんです!」


って言ってくれたのが、
『けいおん』(芳文社、かきふらい著)です。

それとGooseHouseが歌う
『オトノナルホウヘ→』
でした。


私は音感もリズム感もない。
でも、音楽大好きです。
音楽がないと生きられません。

音を楽しむと書いて音楽。
授業でいう、数学とかの学とおんなじですが、
唯一、学ではなく、楽しむ学問なんです。


ホント楽しげに音楽してます。
うらやましぃ。

2015年5月6日水曜日

本の紹介『せんだいノート』

本の紹介です。

今回は芸術ネタ。
『せんだいノート』仙台・宮城ミュージアムアライアンス
       三樹書房(2011年発行)


仙台・宮城ミュージアムアライアンスとは
「知的情報資源である仙台・宮城地域の美術館・博物館・動物園など12館による
共同事業体である」
仙台市教育局生涯学習課の主催している団体です。(smt年報2011より抜粋)
そちらが編集されたミュージアムガイドなだけに情報量はこと細かです。


以下、書籍の紹介です。

県美術館、博物館については情報のみです。
むしろ読み物部分に書かれているのはそれ以外。

動物園。しかも雨の日?
小学校の遠足とかで行って雨だったらヘコむじゃないですか。
それをどう楽しめと?

夜? あぁ、天文台ね。
昔は駅から歩いてでも行けるとこにあったんです。
だから、プラネタリウムはしょっちゅう行ってました。
でも、夜の天体観測は行ったことなかったです。

釜神様
って聞いたことあるけどなんだっけ?
塩釜神社に祀られてんのは見たことないんですが。
地名の由来にはなってたかも。


ネタがそういった感じなので興味をそそられます。
地元なのに(地元だから?)知らないことばかりです。

それ以外にも、
仙台伝統白菜とか。
紙芝居とか。
くりでん(惜しまれながら廃線になったくりはら田園鉄道)とか。
科学館の実験とか。
も書かれています。

巻末の東北ミュージアム一覧は必見!



あ、移動図書館って知ってますか?
地区地区の図書館が、軽ワゴンで出張貸し出しに来てくれるんです。
いつも親の貸し出し枠まで使って自分のを借りてました。

そういうのって、ほかの地域でもあったんですかね?

思わず幼きころを邂逅してしまいました。

でも、何を借りたのか覚えていません。
けっこうな量を読んでたはずなのに…

2015年4月15日水曜日

本の紹介 『読みがたり 岩手のむかし話』

本の紹介です。

今回は物語ネタ。


『読みがたり 岩手のむかし話』
      岩手県小学校国語教育研究会 編著
              日本標準(2004年発行)


岩手県は民話の宝庫と言われてます。
この本は、
そんな民話たちを、その地域の言葉でまとめた本です。

「いまさら学校の教科書みたいなの読むのもなぁ…」
と倦厭していたのですが、
たまたま手許に入ったので読んでみました。

きっかけはたまたまでしたが、
あらためて読んでみるといろんな発見があって、
想像以上におもしろかったです。

ただ、方言は慣れないと、やっぱり難しいですね。
リズムよく読めるまで、文章を何度も行ったり来たり。


ちなみに中に書かれたむかし話は、
題名こそ違えど、
どっかで読んだり聞いたりしたことあるな
と懐かしく思うものもあります。

これは
「かさじぞう」
こっちは
「おむすびころりん」
だな、とか。

と思えば
お話の始まりは、
芝刈りに行くおじいさんと洗濯に行くおばあさん。
なのに、
流れてきたのは瓜から生まれた瓜子姫
なんてのもあります。

瓜子姫って昔話は題名しか知らなかったので、
自分にとっては、大きな発見でした。

そして、なによりすばらしいのは全編方言
先にも言いましたけど、正直読みづらいです。
でも、独特のリズムが心地良いんです。

大阪の漫才とか、ヒップホップとか。
素人目線ですがそんな感じでした。


そういえば、
いつか遠野の昔語りを実際に聞いてみたい。
そう思い続けて未だ果たせずにいます。

けっこう近くは通るんですが、
「ナニか出そうな雰囲気」
だけは味わいながらも毎度素通り。

今年こそは、と思ってますがどうだか。


どんとはれ

2015年4月1日水曜日

本の紹介『手をつなごう』

本の紹介です。

今回はサッカーネタ。



 

『手をつなごう』
   千葉直樹著
   プレスアート(2011年発行)


地元サッカーチームである
ベガルタ仙台(「Vegalta Sendai Official Website)
で活躍した千葉直樹選手の書いた本です。

とても好きでした。
プレイがすごいとかでなく、 大事な場面で必ず活躍してくれる。
そんな期待感を持たせてくれました。

ベガルタの苦しい時代も、J1とJ2を行き来してた時代も、
この方がいたからこそだと思います。

千葉選手の引退後、
自分のサッカー熱が少し冷めたかな、
なんて思えるくらい。


以下、さわり程度ですが、著書を紹介しましょう。


千葉選手はベガルタ仙台の前身であるブランメル仙台に入団し、
2011年まで15年間、仙台のサッカーを支えてきました。

なので、仙台のサッカーの歴史がめいっぱい語られてます。

ブランメル時代のリトバルスキー(W杯西ドイツ代表優勝メンバー)ら
往年の選手たち。
手倉森ベガルタ元監督(2014年U-21日本代表監督)を筆頭に
歴代の監督たち。

JFLでのブランメル仙台の時代。
ベガルタ仙台になってからのJ2。
初めてJ1に昇格したときの喜び。
J2に降格したときの悲しみ。
そして、2010年再び昇格し、
次の2011年シーズンでの引退。

その一つ一つが、仙台のサッカーの変革期です。

また、
2011年と言えば、東日本大震災があった年です。
そのときの様子なんかも書かれています。

震災直後の川崎フロンターレ戦とか。
引退のときの川崎フロンターレ戦とか。


さらに
千葉直樹本をもう一つ。

Jリーグサッカーキング2011年3月号
『千葉直樹引退読本』

いまだに永久保存版としてとってあります。


蛇足。
私事ですが、著者の千葉さんが、
自分が足しげく通っていたコーヒー屋さんの常連だった
と今更知って、少し感慨にふけりました。



ありがとう!

ミスターベガルタ!

2015年3月18日水曜日

本の紹介『遥かなるロマン 支倉常長の闘い』

本の紹介です。

今回は歴史ネタ。


『遥かなるロマン 支倉常長の闘い』河北新報社編集局
河北新報社(1993年発行)


2013年は「慶長遣欧使節」400年とのことでした。
イベントもたくさんしてました。

なんとか震災からも復興しだして、
ようやく再開にこぎつけたところでした。

石巻含め、海岸沿いの方々はホント苦労なされてます。

復興支援。

なんて大仰な理由づけではないのですが、
地元ってものを知りたくなり、改めて手に取った次第です。


副題にあるようにこの本は、
支倉常長について描かれた本です。

その中でも、
慶長遣欧使節の船出から帰国するまでがメインの解説となります。

江戸時代初め、
仙台藩主伊達政宗はイタリアローマへと使節を派遣します。
出航した地は宮城県石巻市月浦。
それが慶長遣欧使節であり、支倉常長です。

ローマ法王への書状。
領内のキリスト教の布教活動
造船技術とサンファンバウティスタ号。
スペイン植民地だったメキシコとの通商交渉。
徳川家康と伊達政宗。
キリスト教の弾圧。
etc.

表題どおり、「闘い」でした。

『遥かなるロマン』という書名は華やかですが、
それだけでは伝えきれない事柄が描かれています。

なるほど、
『支倉常長の闘い』
というサブタイトルがあって初めて、
この本の魅力が伝わります。


その2013年、初めてマトモに石巻観光をしました。
しかも、タカラッシュってイベントで、です。

仙台の街中から三陸道使って、一時間ていどなんですけど。
地元の観光地ってなかなか行かないから…

きっかけはなんであれ、
もう少し身近な場所に興味もとうなんて思った次第です。