2015年8月25日火曜日

本の紹介『東京湾 海中高校』

これは実話である。



『東京湾 海中高校』
青柳 碧人
講談社文庫


お読みになった方はご承知でしょう。

実話ではありません。
SFです。


しかし、
海中高校は実在したんだ、
と信じてこんでしまうほどのクウォリティの高さでした。


舞台は千葉県の沿岸の海の中に建設された街です。
そこに生きる子供たち。
そして、
語り部はそこで育った男性。
今は教師をしています。

彼はある生徒から海中高校についての取材を受けました。

過去との邂逅は高校時代に出逢った少女を想いださせました。
青春時代というには殺伐とした過去は、
実は切なくも美しき想い出でした。

語り部の知りえぬ過去を知り、
彼の心は少しだけ動き出します。


帯には
「生まれ故郷を失う切なさ
 あなたにわかりますか?」
との問いかけがありました。

エネルギー問題。
住宅事情。
政治的思惑。
都道府県や市町村の主張
日本という国


そんな社会に振り回される子供たちを、
自分たちも現実に視てきたはずです。

とくにエネルギー問題は、
世論をないがしろにして再稼働する原発やら、
ハイブリット車やオール電化といった電気事情やら、
削減目標に達することのないCO2問題やら 、
今後も話題が尽きることはないでしょう。

必死に生きる人々をないがしろにしたままで。



どうにかならないの?


と自分でも問いかけてみます。
どうにもできない自分に苛立ちます。

次代のために自分たちは何をしてあげられるだろう。

この小説は問うてます。

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