2015年9月23日水曜日

本の紹介『ハヤチネ!』


宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』
柳田國男の『遠野物語』
井上ひさしの『吉里吉里人』

岩手県が舞台となった(舞台と思われる)小説は、
昔から多く存在します。

現代小説ではあまり聞かれませんが、
今回紹介するのは、
完全岩手


『ハヤチネ!』
(福盛田藍子・スクエアエニックス)

舞台は早池峰にほど近い内陸の大迫です。

遠野に代表される民話の宝庫岩手県を余すことなく、
というにはあまりに岩手は広すぎます。

それでも、
芸能文化あり、食文化あり、と話は多岐にわたります。



始まりは、
両親を亡くした子供三人が東京から引っ越してきたところから始まります。

都会と田舎とのギャップに戸惑う三人ですが、
受け入れる側の懐の広さにだんだんと心を開いていきます。

方言や文化、人間性の違いにぶつかり合いながらも、
ゆっくりと成長していく子供たち。

著者の郷土愛が存分に感じられる作品でしょう。



余談ですが、
作品中にでてくる「がんづき」というお菓子。
あれ、全国区のものだと思ってました。

普通にスーパーやコンビニに並んでたので。

数年前に訪れた岩手県陸前高田市の友達のご実家で、
手作りの「がんづき」を出され、
初めて郷土食だったことに気づかされました。
(恥ずかしながら、店で売ってるものは、
基本的にお菓子屋さんでしか作れないと思ってた)


同様に、
「だから」の使用法も全国区でないことに気づかされたのも、
ここ5年くらいの話。
私が「だからぁ」って言うと、
不思議そうに言葉を待つんですよね。

「だからぁ」は相づちです。

『ハヤチネ!』のおまけコーナーでは、
イントネーションの違いについて語られてました。

「か」の位置が上がるのが相づちの「だから」で、
理由をつなげるときは頭の「だ」が上がるのだそうです。

意識して使ったことなかったけど、
あらためて思い返すと、やたらに連発してて、
東北の外から来た人たちが混乱してたみたいです。


 やっぱ、地元本は楽しいですね。

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