企業戦士、マイホーム、海外出張。
勝ち組のキーワード。
床下ホームレス、てんぷら学生ならぬてんぷら社員、
派遣社長。
負け組の…負け組?
書名も惹かれる書名ですが、
副題のつけ方がまた絶妙です。
『床下仙人』
(原宏一 祥伝社文庫)
書名を見たときは、
現代社会の日常系おとぎ話かと勘違いしてました。
(著者のことをまったく知らずに、題名買いでした。)
まぁ、たしかに
内容的には中らずと雖も遠からずでしたが、
サラリーマンの悲喜こもごもを語った小説でした。
一風変わったビジネス小説。
企業戦士のなれの果てとでもいいましょうか。
でも、
どこか幸せにも思える登場人物たちです。
その幸せは
会社という組織の理不尽と戦い続け、
疲れ果てたヒトには小さな慰めとなると思います。
不幸の中の見出したわずかな幸せ。
「神様ありがとう」
なんてけっして叫ばないだろう小さな慰め。
これって現実と戦う武器だと思うんです。
大きな幸せは現実から目を逸らすきっかけになるし、
派手に慰められると依存しちゃうから。
小さな幸福を積み重ねて、
そのために現実と戦って、
慰められたら、
他のキズついてるヒトを慰められる 。
そんな人生を送れたら、
死に際笑顔で逝ける気がします。
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