2016年2月6日土曜日

本の紹介『床下仙人』

企業戦士、マイホーム、海外出張。
勝ち組のキーワード。

床下ホームレス、てんぷら学生ならぬてんぷら社員、
派遣社長。
負け組の…負け組?

書名も惹かれる書名ですが、
副題のつけ方がまた絶妙です。

床下仙人
(原宏一 祥伝社文庫)

書名を見たときは、
現代社会の日常系おとぎ話かと勘違いしてました。
(著者のことをまったく知らずに、題名買いでした。)

まぁ、たしかに
内容的には中らずと雖も遠からずでしたが、
サラリーマンの悲喜こもごもを語った小説でした。

一風変わったビジネス小説
企業戦士のなれの果てとでもいいましょうか。
でも、
どこか幸せにも思える登場人物たちです。

その幸せは
会社という組織の理不尽と戦い続け、
疲れ果てたヒトには小さな慰めとなると思います。

不幸の中の見出したわずかな幸せ。
「神様ありがとう」
なんてけっして叫ばないだろう小さな慰め。

これって現実と戦う武器だと思うんです。
大きな幸せは現実から目を逸らすきっかけになるし、
派手に慰められると依存しちゃうから。

小さな幸福を積み重ねて、
そのために現実と戦って、
慰められたら、
他のキズついてるヒトを慰められる 。

そんな人生を送れたら、
死に際笑顔で逝ける気がします。

0 件のコメント:

コメントを投稿