2016年4月16日土曜日

本の紹介『コンビニたそがれ堂』

ヒトは一歩前に進むたびに、
ナニカを失くしていきます。

それがどんなに大事なモノだったか、
後になって気づくこともありますし、
大事なモノと知っていながら、
置いていかざる得ないこともあります。

過去に失くした大事なモノを、
もう一度この胸に抱きしめたい。

きっと、
誰もが一度は考えたことがあるかと思います。




コンビニたそがれ堂
(村山 早紀 ポプラ文庫ピュアフル)
はそんなヒトたちに
やさしく語りかけてくれます。


商店街の外れ。
赤い鳥居が並んだあたり。
夕暮れ時になるとあらわれる
不思議なコンビニ。

たそがれ堂

そのコンビニでは
大事な探し物を見つけられると言われてます。



老若男女、ヒトはもちろんのこと、
動物だって大事なモノを失くし、
過去を捜し求めます。


間違えてはならないのは、
このコンビニはけっして、
過去を取り戻すものではありません。

過去に取りこぼしてしまった、
未来へのきっかけを与えてくれるだけです。

メモ帳。
お人形。
ストラップ。
キャンディ。
光。

それは小さな小さな
未来への欠片。

お客さんはそれを手に現実へと戻ります。



この小説。
もとは児童書です。
著者の村山 早紀は児童文学作家です。

だからこそ、
オトナにやさしく語りかけてきます。

いくつも大事なモノを失くしてきたオトナにこそ、
この物語は心に響くはず。

私はそう感じます。

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