2016年7月29日金曜日

自作小説について その3

小説家になろう」サイトで書いてます
自作小説の長編五作目
輝石と双眸
完結です。


今回の主人公は武器屋の少女。

自らの生み出す武器がもたらす未来と
負うべき責任をテーマに、
王国騎士の家族を描いてます。


副題は鉱石です。

鉱物諸々のイメージや魔術的な意味合いを
ところどころにちりばめながら、
鉱物図鑑やらパワーストーンの本とにらめっこして決めました。

ネタはだいたい
楽しい鉱物図鑑
(堀秀道 草思社)
から。
イメージがまとまったら、
パワーストーン関連の書籍で調べ直してでした。


さらに今回は、

ですます調の一人称に初挑戦。

ブログとおんなじようにできるかな、
なんて甘く見てたのですが、
想像以上に難しかったです。

似たり寄ったりの表現が続いてしまって、
語尾に四苦八苦したり。

あえてこのセリフは通常に戻そう、
なんてやってるとバランスが取れなくなったり。

内容に悩みたいのに、
文体のバランスに悩むことが多かったです。


よろしければ、こちらご覧ください。
http://ncode.syosetu.com/n7180cv/

2016年7月18日月曜日

本の紹介『食堂かたつむり』

この本を読んで、
錬金術」を想像してしまったのは
私だけでしょうか。

いや、私だけでしょうけど。


今回は
食堂かたつむり
(小川糸 ポプラ文庫)
です。


レシピの豊富さや食材について。
豚を捌くときの生々しさ。

「この料理食べてみたい!」
と思うより先に
「この料理ってこういうのなんだ」
と無知な自分が感心するばかり。

料理人、目指したことないですし。
当然のこと。

ところで、
何に錬金術を想像したかといいますと、
以前ブログで紹介しました
鋼の錬金術師』のワンシーンを思い出したからです。

全然重要なシーンではないのですが、
「錬金術師は自分の研究を他のヒトに盗まれないように暗号化する」
といった流れがありました。

旅行記にしてみたり、女性とのデート予定にしてたり。
その中にレシピ風ってのがありました。

食堂かたつむり』でも、
料理がヒトに与える影響が一つのテーマになっています。

それがまた神秘的というより、魔術的なんです。

乱暴に引用するなら、
再会の奇跡を起こし、
縁を結び、
最高の夢を視せ、
動物の病気を治し、
ヒトをやさしい気持ちにさせる。

イモリの黒焼きなんて笑い話も出てきますが、
著者自身が書いてるうちに
あまりに魔法じみてるからって、
現実に引き戻したんじゃないか。
なんて勘ぐってしまいます。

でも、
美しい物語です。


描かれているのはもっと根源的な
生と死への賛歌、
いうなら
宗教的な祈り 。


映画は見てないので何とも言えませんが、
単純に
主人公の女性のキズが癒される物語として描いたら、
ぜったいに違和感を覚える気がします。


「食べるということは
 なにかの命を吸収すること」


この小説が語るのは
レシピ云々ではなく
そこなのかなと思いました。

2016年7月4日月曜日

本の紹介『てふてふ荘へようこそ』

私は霊感がありません。

最近、
夜中の天王山トンネル(スポットらしいです)
に行くことがしばしばあるのですが、
やっぱり見えません。

『てふてふ荘へようこそ』
(乾ルカ  角川文庫)

ある格安アパートで繰り広げられる、
ヒトと霊の人情劇です。

ドラマにもなりました。
観てないですが。

一部屋一人、がいます。
そこに入居する、してる、してた
ヒトたちの生き方の変化。
それがメインテーマと言えるでしょう。

それは同時に
部屋に自縛してる霊たちにも
変化をもたらします。

ヒトとしてまっとうに生きる
ってのがどんなに大切で、
どんなに困難なことなのか。
それを再確認させてくれました。

その話の中で、


カエルは動くものしか認識できない。
生きていくための進化の過程でそうなった。
だから、
カエルは動かない石を見ることができない。
目の前に存在してたとしても。

霊が見えないのもそういうことなんだろう。


という場面が描かれています。

存在してるけど認識できないコトやモノ。
きっと、
私の周囲にもたくさん存在してるのだろうな、
と思います。



2016年7月1日金曜日

本の紹介『多重人格探偵サイコ』

約20年の歳月が経ちました。

なにが?

多重人格探偵サイコ
(原作 大塚英志/作画 田島昭宇  角川書店)
の連載期間です。

今月、
最終24巻が出ました。


大塚英志
民俗学や社会学、サブカルチャー論といった分野で
数々の執筆をしていました。

社会的にタブーであろう事柄に
あえて踏み込んでいく姿勢。

臭いものに蓋をすればいい!
ってもんじゃない。
そう教えてくれたのは大塚教授の書籍です。

そして、
多重人格探偵サイコ』のさらなる魅力は
田島昭宇の絵です。

田島昭宇の描く死はあまりにも美麗で、
恐怖に震えながらも目を逸らせませんでした。


導入部に出てくる
主人公の恋人の女性。
あまりにも衝撃的なシーンです。


新興宗教
疑似人格
バーコード
集団自殺
スペア

そんな裏社会的なキーワード。
もしかしたら、
管理社会ってのはこういうものなのか?
と殺人以外の現実社会にも恐怖を感じました。



連載開始は1997年。
日本中を震撼させた『酒鬼薔薇事件』の起こった年でした。

猟奇殺人
多重人格
プロファイリング

刑事事件が様変わりしていったのが、
このあたりだったと記憶してます。



日本の各地で有害図書指定受けたってのも、
半ば納得できます。

実際、
これが本棚に並んでて、
自分がなにかしらの事件を起こしたら、

ニュースで取り上げられたことでしょう。


反社会的事件の際に必ず取り上げられる
マンガだったりビデオだったり。

べつに容疑者を擁護するつもりは毛頭ありません。
でも正直、
そんな取り上げ方をするワイドショーなんかを見るたびに
「〇〇殺人事件」といった表題の
大御所作家の文庫が並んだ棚ってどうなの?
と疑問でした。


「有名作家なら著作の中でヒトを殺してもいいのか?
 有害図書にならないのか?」



20年の歳月を経ても未だ疑問です。