2015年8月29日土曜日

本の紹介『ロードス島戦記』

前回の話を受けて、
ファンタジー小説のご紹介。



『ロードス島戦記』
(水野良 角川スニーカー文庫)


『指輪物語』『ドラゴンランス戦記』そして、『ロードス島戦記』
ハイファンタジー
の三大巨頭です。
個人的な見解ですが。


ちなみに
ハイファンタジーという分類を
現実世界を介しない
異世界完結型としています。

現実世界を介すというのは、
たとえば、
「東京に住む高校生が家の扉を開けたら、
目の前に角と翅が生えた女の子が寝てた。」
とか、
「大阪の道頓堀から、
ドラゴンに乗った男の子が現れたとか。」

『ロードス島戦記』は、
そういった文学ジャンルが世に認知されていないころ、
刊行されました。

最近、新版が刊行されています。
が、私が読んでたのは20年以上前。
角川書店が巨大化しつつある時代のものです。


「ファンタジーなんて小説じゃない。
 マンガだ。
 きちんと文学作品を読め。」


学歴社会全盛期に中学生でしたので、
親にはそんな風に言われた覚えがあります。







一部では
D&DT&Tといった
テーブルトークRPGが流行ってました。
リプレイ集が出たり。
小説から独自のルールブックが出たり。


家庭用ゲーム機は過渡期。
パソコンはPC-9801
5inchフロッピーディスク
Windows以前。Windows3.1はあったっけかな?
パソゲーの『ロードス島戦記』もやってました。
なにかソフトを立ち上げるのに
いちいちフロッピーを取り替えるのが面倒でした。

それでもグラフィック的には
パソコンのほうが数段上だったんですよね。

2015年8月26日水曜日

自作小説について その1

拙文ながら、自作の小説を書いてます。
「小説家になろう」のサイトにいくつか載せてますので、
「小説を読もう」 サイトでkimを検索してみてください。


さて、
こちらで書かせてもらってます小説です。

へりくだった表現ではなく、稚拙なる文章です。
どなたか一人でも読んでくだされば、
小躍りするくらいに。

「小説を書きたい」
と思ったのは中学生の時。
おそらく、以前ブログで書きました
『聖エルザクルセイダーズ』
を読み終えた時でした。

そして、
『はてしない物語』
(ミヒャエル・エンデ 岩波書店)

『リリス』
(ジョージ・マクドナルド ちくま文庫)
で異世界ファンタジーを覚え、
『ロードス島戦記』
(水野良 角川スニーカー文庫)
で日本製ハイファンタジー にはまり、
『スレイヤーズ』
I(神坂一 富士見ファンタジア文庫)

『魔獣戦士ルナ・ヴァルガー』
(秋津透 角川スニーカー文庫)
といった、
今ならばラノベと呼ばれるジャンルの小説を読み漁ってました。


ファンタジーへの傾倒は
『ロードス島戦記』
『指輪物語』
(J・R・Rトールキン 評論社)
『ドラゴンランス戦記』
(マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 
富士見ドラゴンノベルズ)
がきっかけです。
私見ですが、
ハイファンタジーのジャンルの三大ファンタジーです。

それらはまるで吟遊詩人の謳う叙事詩のようです。
吟遊詩人にお会いしたことはありませんが。


いつかきっと

それだけを夢みて、書き続けていきたいものです。

2015年8月25日火曜日

本の紹介『東京湾 海中高校』

これは実話である。



『東京湾 海中高校』
青柳 碧人
講談社文庫


お読みになった方はご承知でしょう。

実話ではありません。
SFです。


しかし、
海中高校は実在したんだ、
と信じてこんでしまうほどのクウォリティの高さでした。


舞台は千葉県の沿岸の海の中に建設された街です。
そこに生きる子供たち。
そして、
語り部はそこで育った男性。
今は教師をしています。

彼はある生徒から海中高校についての取材を受けました。

過去との邂逅は高校時代に出逢った少女を想いださせました。
青春時代というには殺伐とした過去は、
実は切なくも美しき想い出でした。

語り部の知りえぬ過去を知り、
彼の心は少しだけ動き出します。


帯には
「生まれ故郷を失う切なさ
 あなたにわかりますか?」
との問いかけがありました。

エネルギー問題。
住宅事情。
政治的思惑。
都道府県や市町村の主張
日本という国


そんな社会に振り回される子供たちを、
自分たちも現実に視てきたはずです。

とくにエネルギー問題は、
世論をないがしろにして再稼働する原発やら、
ハイブリット車やオール電化といった電気事情やら、
削減目標に達することのないCO2問題やら 、
今後も話題が尽きることはないでしょう。

必死に生きる人々をないがしろにしたままで。



どうにかならないの?


と自分でも問いかけてみます。
どうにもできない自分に苛立ちます。

次代のために自分たちは何をしてあげられるだろう。

この小説は問うてます。

2015年8月17日月曜日

本の紹介『かまいし千夜一夜』

岩手県釜石市の歴史についてご紹介します。

 『かまいし千夜一夜』
 (菊池弘 著:岩手東海新聞社 刊)


岩手県。
廃藩置県前の南部藩。
いつの時代も貧困にあえいでいました。


それを文学でつづったのが、
宮沢賢治です。


岩手をたびたび襲う冷害は
アニメ映画化しました
『グスコーブドリの伝記』
にも描かれていました。


さて、
釜石です。
大槌、山田、宮古含め海運業が発展します。
海運業の豪商の屋敷がある吉里吉里浜は
井上ひさしの『吉里吉里人』の舞台です。

北上山地の鉄鉱を釜石で製鉄。
製鉄所が一大産業として
釜石の歴史を作っていきました。

さらに
東北初の鉄道かつわが国初の
「国営産業専用鉄道」が
釜石鉱山鉄道でした。



そんな釜石の歴史は
格差社会の縮図のようでした。
利権争い、派閥抗争。
製鉄所がらみだけでなく
漁場収益をめぐる事件も発生します。

また、
あまり語られることはありませんが、
第二次世界大戦の艦砲射撃もひどかったとのこと。
なぜならば
東北唯一の重要な軍需工業都市だったからです。

今回の震災だけではなく、
たびたび津波にも襲われています。


ところで、
個人的、かつ第三者的な意見ではあるのですが、
釜石を訪れるたびに感じることがあります。


それは
町全体の統一性のなさ、というか
いうなら
「みんなでがんばろう!」的な雰囲気のなさです。


今回の震災の後
ほかの海岸都市と比べ釜石が復興前と雰囲気が変わらないな
と感じるのは
そんな歴史を経てきたからなのかもしれません。

この本を読んで多少合点がいきました。


現在
製鉄所は規模を縮小しています。
水産物もしだいに収穫が減っています。
三陸鉄道は震災で流されましたが、
なんとか復興してます。
企画列車にいつか乗りたいですね。


昔の面影はなくなりつつあるかもしれません。
しかし、それを嘆いていてもしかたがありません。
とりまく世界は変わっていきます。
古き良き時代を否定するつもりは毛頭ありません。
ただ、過去はあくまで過去とし、
新たな釜石に向かうときではないかな
と思いました。