2016年7月18日月曜日

本の紹介『食堂かたつむり』

この本を読んで、
錬金術」を想像してしまったのは
私だけでしょうか。

いや、私だけでしょうけど。


今回は
食堂かたつむり
(小川糸 ポプラ文庫)
です。


レシピの豊富さや食材について。
豚を捌くときの生々しさ。

「この料理食べてみたい!」
と思うより先に
「この料理ってこういうのなんだ」
と無知な自分が感心するばかり。

料理人、目指したことないですし。
当然のこと。

ところで、
何に錬金術を想像したかといいますと、
以前ブログで紹介しました
鋼の錬金術師』のワンシーンを思い出したからです。

全然重要なシーンではないのですが、
「錬金術師は自分の研究を他のヒトに盗まれないように暗号化する」
といった流れがありました。

旅行記にしてみたり、女性とのデート予定にしてたり。
その中にレシピ風ってのがありました。

食堂かたつむり』でも、
料理がヒトに与える影響が一つのテーマになっています。

それがまた神秘的というより、魔術的なんです。

乱暴に引用するなら、
再会の奇跡を起こし、
縁を結び、
最高の夢を視せ、
動物の病気を治し、
ヒトをやさしい気持ちにさせる。

イモリの黒焼きなんて笑い話も出てきますが、
著者自身が書いてるうちに
あまりに魔法じみてるからって、
現実に引き戻したんじゃないか。
なんて勘ぐってしまいます。

でも、
美しい物語です。


描かれているのはもっと根源的な
生と死への賛歌、
いうなら
宗教的な祈り 。


映画は見てないので何とも言えませんが、
単純に
主人公の女性のキズが癒される物語として描いたら、
ぜったいに違和感を覚える気がします。


「食べるということは
 なにかの命を吸収すること」


この小説が語るのは
レシピ云々ではなく
そこなのかなと思いました。

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