2016年6月9日木曜日

本の紹介『陸と千星』

身分差の恋

自分ちはもちろんのこと、
上流階級のヒトビトと交わることのない人生を、
私は歩んでます。

なので、
お嬢様と新聞配達の恋と言われても、
あまりピンときません。

にもかかわらず、
涙が零れました。

身分差なんて関係なく、
ただただ切なくて。


今回は
陸と千星
(野村美月 KADOKAWAファミ通文庫)
のご紹介です。

野村美月と言えば、
文学少女』のシリーズや
源氏物語を元ネタにした
ヒカル』のシリーズが有名です。


さて、
この物語、いろんな意味で
ずれた物語でした。

お互いの立場がずれてます。
だから、
お互いを深く知ることができません。

相手を深く知ることができないから、
互いにもつ相手の人物像がずれてます。
「あのヒトは~だから、
 きっと幸せな生活を送ってるんだ。」
そう信じちゃいます。

現実は?

そして、
毎日のように逢えるあのヒト。
いつのころからか、
意識しだし、
相手も意識してくれてると思い始め、
でも、
自意識過剰だったって落ち込んで。
相手の気持ちと自分の気持ちがずれます。



自分の想像、ある意味妄想と
現実のずれに気づき、
それを受け入れたとき、
二人はようやくお互いを…



テーマは
「泣けない少女と笑えない少年の物語」
とのことです。

ホント、この物語を端的に表したテーマだと思いました。



あぁぁぁ、
オチが読めていたのに、
涙が止まらなかったぁ。



少し冷静になりましょう。
蛇足承知で一つ。

この本のあとがきで著者は
商業的に地味
とおっしゃってます。

これが現代の
いや、
いつのころからか脈々と受け継がれてきた
物語」の運命なんでしょうね。

絶対の良本なんてこの世にないのに。
おんなじくらい絶体の駄作なんてないのに。

言葉の羅列の中で一文字でも
自分を作り上げる糧となり得れば、
そのヒトにとっての
絶対の良本にはなるはずなのに。


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