身分差の恋。
自分ちはもちろんのこと、
上流階級のヒトビトと交わることのない人生を、
私は歩んでます。
なので、
お嬢様と新聞配達の恋と言われても、
あまりピンときません。
にもかかわらず、
涙が零れました。
身分差なんて関係なく、
ただただ切なくて。
今回は
『陸と千星』
(野村美月 KADOKAWAファミ通文庫)
のご紹介です。
野村美月と言えば、
『文学少女』のシリーズや
源氏物語を元ネタにした
『ヒカル』のシリーズが有名です。
さて、
この物語、いろんな意味で
ずれた物語でした。
お互いの立場がずれてます。
だから、
お互いを深く知ることができません。
相手を深く知ることができないから、
互いにもつ相手の人物像がずれてます。
「あのヒトは~だから、
きっと幸せな生活を送ってるんだ。」
そう信じちゃいます。
現実は?
そして、
毎日のように逢えるあのヒト。
いつのころからか、
意識しだし、
相手も意識してくれてると思い始め、
でも、
自意識過剰だったって落ち込んで。
相手の気持ちと自分の気持ちがずれます。
自分の想像、ある意味妄想と
現実のずれに気づき、
それを受け入れたとき、
二人はようやくお互いを…
テーマは
「泣けない少女と笑えない少年の物語」
とのことです。
ホント、この物語を端的に表したテーマだと思いました。
あぁぁぁ、
オチが読めていたのに、
涙が止まらなかったぁ。
少し冷静になりましょう。
蛇足承知で一つ。
この本のあとがきで著者は
「商業的に地味」
とおっしゃってます。
これが現代の
いや、
いつのころからか脈々と受け継がれてきた
「物語」の運命なんでしょうね。
絶対の良本なんてこの世にないのに。
おんなじくらい絶体の駄作なんてないのに。
言葉の羅列の中で一文字でも
自分を作り上げる糧となり得れば、
そのヒトにとっての
絶対の良本にはなるはずなのに。
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